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どうして花粉症のヒトが多くなったのでしょう

 スギ花粉症は今や新たな国民病ともいわれ、現在、日本人の10人に1人以上もの多くのヒトが悩まされています。これは戦後に植林されたスギが30〜40年経ち、間伐もされないまま大量の花粉が飛散していることによります。また都市化により道路が舗装され花粉が舞い上がりやすくなっている事や、大気汚染が花粉症の症状の悪化をきたす事も指摘されています。

 今のところ今年のスギ花粉は少ないことが予想されていますが油断は禁物です。例年と比べて暖冬のために山の積雪が少なく、花粉飛散が2月を待たずして1月に観測されています。もっともスギ花粉自体は10月頃から成熟していて、極少量ですがすでに秋から飛散が始まっています。秋からスギ花粉症の症状を起こしている方も少なくないことが最近のデータで明らかになりました。

なぜ鼻アレルギーになるのでしょう
 わたしたちの体は、生まれつき自分の体内にあったもの(自己)と、そうでないもの(非自己;対外から侵入してきたもの)を識別しており、非自己が侵入してくるとこれを体外に排出し防御しようとします。この能力のおかげで病気を未然に防ぐことが出来る訳です。ところがこの免疫反応が過剰に反応してしまっている状態、これがアレルギーです。

 花粉が鼻粘膜から侵入すると白血球の一種であるマクロファージとリンパ球が一緒に働きあって花粉を異物と記憶します。そしてこれをやっつける為に特異的な抗体がつくられ、鼻や目の粘膜などに分布する免疫細胞のマスト細胞表面に付着します。花粉との接触を繰り返すうちにこのような細胞は増えていき、あるレベルに達するとアレルギー反応ができる準備が整い、いよいよ花粉症が発症します(感作の成立)。
感作が成立した体に同じ花粉が侵入すると、花粉抗原はマスト細胞の表面に付着した抗体と結合し、抗原抗体反応が起きてマスト細胞からは様々な化学物質(ヒスタミンやトロンボキサン、ロイコトリエンなど)が放出されます。これらの放出物質による神経刺激や血管刺激が起こり、結果としてくしゃみや鼻閉など、鼻アレルギーに特有な症状が出ることになります。

花粉症のヒトは果物アレルギーに要注意
 果物や野菜を食べて15分以内に直接触れた唇やのどがかゆくなり赤く腫れた、などの経験はありませんか?こういった場合には口腔アレルギーの可能性があります。この口腔アレルギーが花粉症と関連あることが分かり注目されています。中でもシラカンバ花粉症のヒトが、イチゴやリンゴなどバラ科の果物を食べるとアレルギー症状を起こすことが多く報告されています。これはアレルギーとなる物質が共通して含まれる交差抗原性があるためと考えられています。花粉症も原因はスギばかりではありません。カモガヤやブタクサなど1年中色々な花粉が飛んでいます。
アレルギーの原因を知ることは新たな診断や治療にもつながります。アレルギーの原因物質は血液検査で簡単に調べることができます。詳しい検査が望ましいと思われます。

日常生活で注意すること
 原因となる花粉を室内に持ち込まないことは大切です。花粉が多い日には布団を外で干すのは要注意、外出から帰った時には衣服もよく払い落としておきましょう。日常の生活も体調を整え自律神経を安定させるよう、規則正しい生活に心がけましょう。空気が乾燥していると鼻粘膜が傷つきやすく、鼻炎を起こしやすくなります。適度の部屋の加湿やマスクの使用は効果的です。また偏った食生活や暴飲暴食は腸内細菌が乱れる原因にもなり、アレルギーを起こしやすくさせます。冬の間、根菜など体を温める食事を心がける事も症状を悪化させない上で大切です。

いろいろな治療法があります
 市販の点鼻薬には鼻閉によく効くものがありますが、これらには血管を収縮させる薬が含まれています。10分ほどで効果が得られる速効性があります。ただし長く使っていると鼻の粘膜が肥厚して慢性の鼻炎を引き起こすことがありますので、注意が必要です。

 たった1回の注射で症状を抑えてしまうステロイド注射もあります。効果が長く持続する反面、体内のホルモンバランス異常や注射部位の皮膚萎縮などの副作用がおきてしまう場合があり、安易な使用はリスクを伴う治療法と言えます。アレルギーの体質自体を変えていく治療に減感作療法があります。5年以上の長い期間定期的に注射を受ける必要があり短期間では効果は期待できません。手間と時間がかかりますし、原因となる抗原が何種類もある場合のアレルギーには向いていません。体質改善にはまだ確立されていませんが、注射でなく舌下にエキスを入れる方法も研究されています。

 その他、レーザーを使って鼻粘膜を焼くことでアレルギー反応を抑える方法もあります。優れた治療法と考えられていますが、焼いた後に修復された粘膜は元の粘膜ではなくなってしまいます。そこで鼻粘膜表面の線毛をできるだけ保存するように粘膜の中をラジオ波などで焼く治療法も考案されています。また粘膜ではなくアレルギー症状の原因となる神経(後鼻神経)を直接切除する手術も近年開発されました。

初期治療をおすすめします
 悩ましい花粉症ですが、症状が強くなる前の初期に治療を開始すると、比較的軽い症状でシーズンを乗り切れるなど効果的な事が分かっています。早め早めの治療が大切と言う事になります。花粉症の症状には鼻水やくしゃみがおこるタイプと、主に鼻閉をひきおこすタイプがあり、どちらもつらい症状です。ただ、起こるメカニズムに違いがあるため、それぞれのタイプに見合った治療法が必要です。飲み薬や鼻に噴霧する点鼻薬にも色々な種類があり、最近では眠気が少なくて効果のすぐれた薬が次々と開発されています。
耳鼻咽喉科では鼻の粘膜を直接観察することで、鼻炎の程度や種類などをしっかり確認し、その方の症状やライフスタイルに適した治療法を選択していきます。自分に合った治療法を見つけ出し、毎シーズンの花粉症を上手に乗り切りましょう。

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